「いびきがうるさいと家族に言われる」「日中、どうしようもない眠気に襲われることがある」。このような症状に心当たりはありませんか? もしかすると、それは睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)のサインかもしれません。
「でも、睡眠時無呼吸症候群は太っている人の病気でしょう?」そう思われる方も多いかもしれません。しかし、それは誤解である場合があります。実は、痩せ型の人でも睡眠時無呼吸症候群になる可能性は十分にあります。
この記事では、なぜ痩せ型でも睡眠時無呼吸症候群になるのか、その原因を骨格や生活習慣の観点から詳しく解説します。また、ご自身で確認できるセルフチェックリストや、具体的な対策法、治療法についてもご紹介します。原因を知り、適切に対処することで、睡眠の質を高め、健康的な毎日を取り戻しましょう。
痩せ型でも睡眠時無呼吸症候群(SAS)になるのはなぜ?主な原因を徹底解説
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気です。主な原因は、空気の通り道である「上気道」が狭くなることにあります。肥満の人は、首周りの脂肪が気道を圧迫するためSASになりやすいとされていますが、痩せ型の人には別の原因が隠れていることが多いのです。
日本人に多い「骨格」が原因となるケース
痩せ型SASの大きな原因の一つが、生まれつきの顔や顎の骨格です。特に日本人は、欧米人に比べて以下の特徴を持つ人が多く、これが気道を狭くする要因となると考えられています。
これらの骨格的特徴は、体重に関係なく気道の物理的なスペースを狭めてしまうため、痩せていてもSASを発症するリスクがあります。また、子供の場合は、喉の奥にある扁桃腺やアデノイド(鼻の奥にあるリンパ組織)が大きいことが原因で気道が狭くなり、SASを引き起こすこともあります。
体重以外に影響する「生活習慣」と「体の状態」
骨格だけでなく、日々の生活習慣や体の状態もSASの発症や悪化に関わっています。
- 筋肉量の低下: 加齢や運動不足により、舌や喉周りの筋肉が衰えると、睡眠中に気道を支える力が弱まります。その結果、舌が落ち込みやすくなり、気道が塞がれてしまいます。
- ストレスや不規則な生活: ストレスや生活リズムの乱れは睡眠の質を低下させ、SASの症状を悪化させる可能性があります。
- 鼻づまりやアレルギー性鼻炎: 慢性的な鼻づまりがあると、自然と口呼吸になります。口呼吸では舌が喉の奥に落ち込みやすく、気道が狭くなるため、いびきや無呼吸の原因となります。
- 飲酒や睡眠薬の使用: アルコールや一部の睡眠薬には、筋肉を緩ませる「筋弛緩作用」があります。就寝前に摂取すると、喉周りの筋肉が通常以上に緩み、気道が閉塞しやすくなります。
その他の隠れた原因
まれに、特定の病気が原因でSASを発症することがあります。例えば、甲状腺機能低下症は舌が大きくなることがあり、気道を狭める原因になります。また、アミロイドーシスという病気で舌や喉に異常なたんぱく質が沈着することも、SASの一因となり得ます。
痩せ型SASのサインを見逃さない!セルフチェックリスト
自分では気づきにくいのが睡眠中の症状です。以下のリストを参考に、ご自身の状態をチェックしてみましょう。
睡眠中のサイン
日中のサイン
専門医に相談すべき目安
上記のサインに複数当てはまる場合、特に「家族からの呼吸停止の指摘」や「日中の強い眠気」がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられます。放置すると、高血圧や心臓病、脳卒中などの生活習慣病のリスクを高めることにも繋がります。気になる症状があれば、早めに呼吸器内科や耳鼻咽喉科、睡眠専門のクリニックを受診しましょう。
痩せ型SASの疑いがある場合の検査と診断
医療機関では、問診や診察の後、睡眠中の呼吸状態を調べる検査を行います。検査には大きく分けて、自宅でできる簡易検査と、医療機関に一泊して行う精密検査があります。
簡易検査(自宅でできる検査)
まずは自宅で手軽に行える簡易検査から始めることが一般的です。指先にセンサー(パルスオキシメーター)をつけたり、鼻や胸にセンサーを取り付けたりして、睡眠中の呼吸の状態や血液中の酸素濃度を測定します。この検査でSASの疑いが強いと判断された場合に、精密検査に進みます。
精密検査(医療機関で行う検査)
精密検査は「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)」と呼ばれ、SASの確定診断のために行われます。病院やクリニックに一泊入院し、体に多くのセンサーを取り付けて眠ります。脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸、血中酸素飽和度などを総合的に測定し、無呼吸の回数や種類、睡眠の質などを詳細に評価します。痛みはなく、普段通りに眠るだけで検査は完了します。
痩せ型SASの治療法とセルフケア・予防策
検査でSASと診断された場合、重症度や原因に応じた治療が行われます。同時に、日常生活でのセルフケアも症状の改善に非常に重要です。
医療機関での治療法
- CPAP(シーパップ)療法: 鼻に装着したマスクから空気を送り込み、その圧力で気道が塞がるのを防ぐ治療法です。SAS治療の第一選択とされ、痩せ型の人にも効果的です。骨格が原因で気道が狭い場合でも、物理的に気道を開存させることができます。
- マウスピース(口腔内装置): 下顎を前方に少し突き出させた状態で固定するマウスピースを、睡眠中に装着します。これにより舌の落ち込みを防ぎ、気道を広げる効果があります。特に軽症から中等症のSASで、骨格に原因がある場合に有効です。
- 外科手術: 扁桃腺やアデノイドの肥大が原因の場合、それらを切除する手術が検討されることがあります。また、鼻の通りを良くする手術や、顎の骨格を修正する手術が行われることもあります。
- 原因疾患の治療: 甲状腺機能低下症など、他の病気がSASの原因となっている場合は、その病気の治療を優先します。
日常生活でのセルフケアと予防
医療機関での治療と並行して、生活習慣を見直すことで症状の改善や予防が期待できます。
- 規則正しい睡眠習慣の確立: 毎日同じ時間に寝て起きることで、体内時計を整え、睡眠の質を高めます。
- 寝る前の飲酒・カフェイン摂取を控える: アルコールは喉の筋肉を緩ませ、カフェインは睡眠を浅くします。就寝前の摂取は控えましょう。
- 禁煙: 喫煙は喉の炎症を引き起こし、気道を狭くする原因になります。
- 鼻呼吸を意識する: 鼻づまりがある場合は、耳鼻咽喉科で治療を受けましょう。市販の鼻腔拡張テープなども活用できる場合があります。
- 適度な運動による筋力維持: 全身の筋力維持はもちろん、舌や喉周りの筋肉を鍛えることも効果的と考えられています。
具体的なエクササイズ例
「あいうべ体操」などの口腔体操や「舌回し運動」が知られています。口を大きく開けて「あー」「いー」「うー」「べー(舌を出す)」と動かしたり、口を閉じたまま舌で歯茎をなぞるようにゆっくり回したりする運動を、毎日数分間続けることで、舌の筋力維持が期待できます。
寝具の見直し: 枕が高すぎると顎が引けて気道が狭くなります。自分に合った高さの枕を選びましょう。横向きに寝ることも、舌の落ち込みを防ぐのに効果的です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)に関するよくある質問(FAQ)
まとめ
この記事では、痩せ型の人でも睡眠時無呼吸症候群(SAS)になる原因と、その対策について詳しく解説しました。
「自分は痩せているから大丈夫」という思い込みは禁物です。SASは放置すると心身に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。質の高い睡眠は、健康的な生活の基盤です。少しでも気になる症状があれば、決して一人で悩まず、専門の医療機関に相談してください。適切な検査と治療を受けることで、健やかな毎日を取り戻しましょう。

